栃原から滝原宮へ

二日目は、私が歩き旅だと知って、特別に準備してくれた朝食を頂き8時20分に宿を出ました。
地図で見ると、栃原から三瀬への道は、宮川の右岸・左岸どちらも有りそうです。ただ「指南車」の記述では「粟生」の地名が出てくるので右岸をとることにしました。右岸を下三瀬付近まで行き、三瀬の渡しで三瀬川集落に渡り、そこから三瀬坂峠を越えて里の集落に入ったというのが想像です。後になって知ったのですが左岸は熊野脇道のルートでした。

滝原道ばた地蔵

滝原楠の常夜灯

神瀬の地蔵さん 左下へ

楠の常夜灯


宿を出てすぐJRの線路沿いになり、しばらく行くと線路を渡り42号線に出ます。一寸国道沿いに歩いた後神瀬の集落に入ります。すぐに又国道に出て、下楠の集落までは国道沿いです。下楠・上楠と集落の中を歩きますが、この辺り、昨日見かけた熊野街道の案内は全くありません。その意識は無いのでしょうか。
粟生の集落を過ぎる辺りに神社があり、少し休憩します。昨日の疲れが脚に少し残っています。10時です。

ここから三瀬に行くルートは「指南車」にも記述がないみたいです。42号線沿いに行くことも考えましたが面白くないので、宮川沿いに行くことにしました。奈良井で42号線を渡り高菜に入ります。ここから県道770号線を淡々と歩きます。42号線と違って車も殆ど無く、小春日和の街道を気持ちよく歩けます。1時間ほどで長ケ(なか)の集落に入ります。昔の旅人は、このまま三瀬まで歩いて渡しを使ったと思われますが、現在渡し船はありません。なので道を尋ねながら長ケ大橋をわたります。長ケ発電所なるものもあります。渡って右折して三瀬川の集落を目指します。

滝原長ヶ大橋

滝原登り口

滝原多岐神社

長ケ大橋

三瀬坂峠登り口

多岐原神社

三瀬川に入ると中程に三瀬坂峠の登り口の案内があります。久しぶりに見る熊野古道の案内です。

通り越して三瀬の渡しの跡らしきものは無いか見に行きます。少し行くと多岐原神社の案内があり右折して川の方向へ下ります。1−2分で多岐原神社があり、もう少し下ると河原に出ます。特に渡し跡の説明も案内も有りませんが、川船が一艘ありました。
多岐原神社は小さな本殿だけなのですが、真新しい木で新築されていました。多岐原神社は、その昔、倭姫命が真奈胡神に急流を渡してもらったお礼に社を造られたそうです。

12時なので昼食にしようと思いましたが、今日の道筋、コンビニも無かったので弁当がありません。仕方なく、昨日買ったおつまみのピーナツと非常食のチョコレートでしのぎながら30分程休みました。うららかな日差しに風もなく眠たくなりました。

滝原河原

滝原峠地蔵

三瀬の渡しらしき河原

三瀬坂峠の地蔵さん

気を取り直して再び三瀬坂峠を目指します。登り口まで5分、三瀬坂峠に登り始めます。三瀬坂峠は多分標高265m位、三瀬の渡しから150−160mの登りです。今回のコースで始めて汗をかきました。途中、左右に分かれ道がありますが、まっすぐの道をたどります。登り口から約30分で峠です。
振り返ってみれば、今回汗をかいたことはありません。今回はじめて防寒具の上着を脱ぎたくなりました。汗を拭くタオルを忘れていることも始めて気が付きました。峠にはやはり地蔵さんが祭ってあり、くだっていくとため池があるのは女鬼峠とよく似ています。

滝原里登り口

滝原宮の鳥居

滝原本殿

里側登り口

滝原宮の鳥居

滝原宮神殿

くだり終えると42号線に出る。そこには登り口の案内があります。横断して里の集落に入る。ぐるっとUターンするように国道を渡り、しばらくすると滝原宮の神域にはいる。
滝原宮も伊勢神宮内宮の別宮である。この辺り大宮町であり伊勢の国であることもうなずける。
滝原参道神域も広い。42号線沿いに道の駅「木つつき館」があり、滝原宮の駐車場もあるが、そこから本殿までは500m以上弱あると思われる。五十鈴川に似た手洗い場もあり、荘厳な気持ちにさせられる参道である。手洗い場をすぎ、杉の巨木の間を進むと神殿が二つある。神殿は写真のように神明造りです。伊勢神宮の別宮として往時は非常ににぎわったらしい。


伊勢神宮から滝原宮への今回の旅は無事終わりました。去年の年末は、浜街道の花の窟にお参りしていたなぁと思いながら、来年も元気で歩けるように参拝する。


神社を出て左にとり、とんと橋を渡って1.5キロほど歩くと大宮町の役場があり、その前の道を右折して国道を渡り、さらに宮川の橋を渡って100mも歩けばJR滝原駅である。到着は2時45分、次の電車まで2時間弱ある。いつものように居酒屋を探すと、今通ってきた42号線の角にあったが喫茶店風なので敬遠、50mほど42号線を戻った右側のおでんとうどんの店に入る。おばさんが一人できりもりしている店であった。ここで道中の無事を感謝して乾杯。