矢の川峠

2008年9月14日

矢の川620熊野古道歩きやダイビングなどで熊野へ通い始めてから10年あまり、いつも気になっている峠がありました。それが矢の川(やのこ)峠です。

現在、尾鷲ー熊野間は国道42号線が走り、矢の川峠の下を長い矢の川トンネルが潜っています。もう一つの大又トンネルを抜けて40分位で熊野市に着くでしょう。

熊野古道としては八鬼山越えです。矢の川峠は通らず三木里へ降りて、後は海岸沿いをいくつかの小さな峠を越えながら熊野市へ向かいます。2日間の行程です。

さてその旧矢の川峠は、現在の42号線を尾鷲から走り、矢の川トンネル手前の千仭橋手前を右折して入って行くらしい。

旧42号線で、昔はバスも走っていたらしい。

矢の川峠の先に、この地方の最高峰、高峰山(1045m)があり、矢の川峠までは車で乗り入れている。歩くと9キロ3時間ということで、何度か車で入りかけたが、どうも途中の林道の様子が心配で中止している。落石や何かが心配だったのです。

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千仭橋手前から熊野方面を見る 高峰山登り口まで3200m 林道入口付近

で、今回は時間を充分とって歩いて旧42号線を矢の川峠に向かってみることにしました。今夜は尾鷲で飲み会があり、宿泊予定なのでのんびりできます。

地形図によれば千仭橋は標高250m程度、矢の川峠は800mなので550mの登りです。7時半に家を出て千仭橋到着は10時45分。道路わきのスペースに駐車して、身支度を整え11時前に出発しました。登り3時間、降り2時間半、昼食タイムを30分として5時には帰れそうです。

ところで入口に気になる看板があります。「高峰山登山口まで3200m」というものです。矢の川峠までは地図上の曲がりくねった道だと9キロが正解のようなので、途中から直接高峰山へ登る道があるのかもと思いました。でも私の目的は矢の川峠にあるので、それは無視することにしましょう。

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昭和15年と刻まれた石碑 小さな滝つぼ 一つ目のトンネル

入ると路盤はガタガタでお世辞にも良い道とは言えませんが、無理すれば車も走れる道です。勿論歩くには快適な一級山道です(笑)。上からライダーが降りてきました。高峰山登山口まで行ったとか。前のほうに二人歩いているとの情報も。
昭和15年矢の川峠開発記念の大きな石碑があり、すぐ小さな滝壷が右手にありました。面白い道です。

昭和15年と言えば私の生まれる前です。1年先輩ですね(笑)。
この先輩が生まれて尾鷲ー熊野間の交通は大きく変わったのでしょうね。

調べてみるとこういうことらしいです。
昭和11年 尾鷲ー木の本間に国鉄バス運行開始 42号線が開通したのか。
昭和34年 尾鷲ー木の本間に鉄道開通 バスの運行は終わる。
昭和42年 矢の川トンネル、大又トンネル開通。

なので今から42年前に矢の川峠道は国道で無くなり、林道になったのかな。
そんな事は関係なく、緑豊な林道を行きます。南谷を越え、最初の小さなトンネルを潜ると、ちらっと眼下に国道が見えます。

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舗装された道も 矢の川トンネル手前ですね 二つ目のトンネル

二つ目のトンネルを潜って、橋を渡ると三つ目のトンネルがあります。

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橋を渡る 三つ目のトンネル 落石もある

更に三つ目のトンネルを潜ると豊富な水場があり、お腹も空いてきたので弁当が誘惑してきます。今日は一寸空腹で歩いて体脂肪を燃焼させようと思ったので我慢して歩きました。

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豊富な水が流れていました ケルンを積まれた水場も近くに 又、落石です

休憩もせずどんどん歩いて矢の川隧道に着いたのは12時20分でした。歩き始めて1時間20分、行程はようやく半分でしょう。標高は550m程度です。
道は三叉路で、右へ行けば三木里に出るようです。左折して矢の川峠を目指します。

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やっと矢の川隧道です 出口は三叉路になっている 12時20分 右は三木里のようです。

電波塔の傍を通って少し行くと、広場があり猿が毛づくろいをしていました。広場からは賀田湾が見えていました。

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電波塔 石畳のようです 賀田湾 三木里かな

空腹をこらえて休憩もとらず、どんどん歩いて1時半ごろ、もう峠も近いはずだがと、右手眼下の熊野灘方面の写真を撮っていると、二人の男性が降りてきました。峠は目の前の広場がそうでした。

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ここにも落石が 水墨画の世界になってきた 峠のすぐ近くに石仏

晴れていれば熊野灘の景色が素晴らしいと思うのですが、あいにく今日は水墨画の世界です。二木島方面らしき海は霞んでいます。
ここから富士山が見える時もあるらしく、平成10年に撮影に成功したとの立て札がありました。

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かすかに大きな船も見えています 矢の川峠の広場 富士山の撮影に成功したとか

高峰山登山口の前に石碑がありますが、茶屋の女性を偲ぶ碑文だとか聞いたような。
弁当を食べていると雨が降ってきました。尾鷲の雨は降り始めると半端じゃないので、持ってきた雨具を着て完璧を期しました。

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高峰山登山口 大又側下山方向 スタミナ弁当です。酒は無し。

矢の川6862時に出発、予定より30分短縮しています。雨の中、どんどん降りますと言いたいのですが、登りに精力を使い果たして、降りも同じ時間かかりそうです。矢の川隧道まで結構長く感じました。

登りに見た豊富な水場で、たまらず小休止しました。お猿も3匹いました。
4時20分、ようやく千仭橋へ到着です。結構疲れました。

この後、岩屋堂に向かい、夜は飲み会でした。

その様子はブログでどうぞ。