11/15/03 伊勢本街道 伊勢奥津〜横野

今年のテーマとして歩いている伊勢本街道も、ようやく終わりに近づいてきました。今回は三重県美杉村の伊勢奥津から飯南町を経て玉城町のJR田丸駅まで一泊2日で歩く予定です。田丸は参宮道の要衝で、熊野街道・和歌山街道と伊勢本街道が別れるところです。田丸まで行けば、後は外宮まで2〜3時間の道のりです。

本街道7

本伊勢奥津ところで今回の始点「伊勢奥津」は集合地点としては最も時間のかかる場所です。10時42分に到着なのですが、多分Oさんは大阪の自宅を6時40分には出ていると思います。私は長島の自宅を7時50分ですから、それでも3時間です。

名松線は桜井と松阪をつなぐ予定だったらしいのですが、モータリゼーションの影響で中断され伊勢奥津が終着駅になったと思われます。一時は廃線の噂もありましたが、現在一日に8本程度運行されています。松阪−奥津間は1時間15分程度かかります。我々は近鉄の川合高岡駅で待ち合わせ、少し歩いてJR一志駅から乗りました。

10時45分駅を出て正面のT字路を左折して街道に入ります。少し行くと造り酒屋さんがありますが、そこから右に橋を渡って行くのが伊勢本街道です。旧街道の名残をのこす町並みを歩いてJRの線路と別れると常夜灯があり、左上にお寺があります。この辺りから山道に入り、368号線に平行して歩きます。途中「首切り地蔵」や「腰切り地蔵」を見ながら1時間ほど歩くと「飼坂峠」です。東屋もありますが、すぐ近くに展望台もあり、これから行く町屋の集落が見えます。天気予報のとおり前線が通過しているとみえ小雨が降ってきました。

本奥津橋 本奥津常夜灯 本飼坂峠
本街道はこの橋を渡って行きます 奥津宿はずれの常夜灯 飼坂峠には茶店があった

10分程休んで出発、25分降ると町屋集落の入り口です。ここには道標や常夜灯があります。街道は直進ですが、左折して4〜500m行くと北畠神社があるので見にいくことにします。
伊勢の国司北畠家を三代祭る北畠神社には有名な庭園があります。拝観料300円を払って見学しました。時刻も12時半だし、他にお客も居ないのでベンチに腰掛けて弁当を広げました。本当はいけないのかもしれません。神社の隣には料理屋さんもあり、うどんやそばもあります。ここからは桐山城跡に通じる道があります。
本町屋道標 本北畠神社
北畠神社への道にある道標 北畠神社の庭園は池泉回遊式 美杉名物の羊羹は三代目とか

30分ほど休憩して出発、元に帰って大橋をわたり368号線で櫃坂峠を目指します。結城旅館という往時の建物があり、現在も営業しておられるそうです。途中、美杉名物「東屋のようかん」という看板が目についたので、おみやげに買いました。「六部供養碑」や「サカムカエ場」などを過ぎて歩いて行きます。町屋から美しい川沿いを1時間強歩いて、櫃坂峠を越えたはずなのですが、案内がなかったのか見落としてしまいました。
「お伊勢参りして怖いとこどこか。櫃坂・飼坂・鞍取坂・・・・・」と歌われたそうですが、気が付かずに通り過ぎてしまいました。
渓谷沿いに歩くと不動橋があり、たもとに「多気不動尊」が祀られています。峠の集落はもうすぐです。峠の集落で左折するのですが、そこに崩れ落ちた茶屋跡があります。左折して2−3分歩くと右に降る路があり368号線とはここで別れます。14時30分です。
峠の集落まであまり登った記憶はないのですが、ここからは急なくだりです。しかも、最近でしょうか崖崩れが多く路が度々寸断されています。慎重に通過した後一寸休憩しました。
本多気不動尊 本櫃坂降り 本長瀬不動尊
櫃坂峠近くの多気不動尊 櫃坂峠からの降りは荒れている 長瀬不動尊と弘法大師御堂

再び368号線と合流する辺りに若宮八幡宮の道標があります。分岐点から1時間ほど降ると長瀬の集落です。長瀬不動尊や弘法太師堂があります。368号線を進みますが、左手奥にお寺があり、そこを過ぎて製材工場の角を右折するのが街道です。大きな常夜灯があるのですが工場の建物に囲まれ見難くなっています。ここから柿野神社までは2キロ弱で、国道とは離れて歩きます。柿野神社到着が16時30分です。お参りして、今夜の宿「リバーサイド茶倉」を目指します。
歩いてきた368号線はここで166号線にぶつかります。左折して松阪へ向かうのが伊勢本街道。右折して飯高町へ向かうのが和歌山街道です。途中、飯南町の粥見から勢和村へ別れる368号線が和歌山別街道です。和歌山街道と和歌山別街道は機会をみて歩きたいと思っています。
本柿野神社 本茶倉全景
柿野神社が見えてくる 朝靄のリバーサイド茶倉

それはさておき今夜の宿「茶倉」は和歌山街道沿いの横野と粥見の間にあります。30分ほど歩いて到着しました。第3セクターの経営らしいですが支配人はサービス満点です。これでないと経営は無理でしょう。バーベキューを食べながら二人で焼酎のボトルを空けて、すっかり酔っ払って朝までぐっすりでした。

11/16/03 伊勢本街道 横野〜田丸

朝食を7時にお願いして、7時40分に出発です。昨晩は気がつきませんでしたが周囲はきれいなお茶畑です。飯南町はお茶の名所なんですね。「ふかいり茶」という40秒程長く蒸したお茶がお奨めだそうです。
立派過ぎる吊り橋で櫛田川を渡り「道の駅茶倉」を経て166号線に出て昨日の横野へ戻ります。朝の櫛田川の眺めはなかなかです。8時10分に柿野神社近くにもどり田丸に向けてスタートです。途中で白猪山がきれいに見えていました。

本街道8

166号線を出入りしながら櫛田川沿いに50分程歩くと大石不動院があります。夫婦の滝近くで10分休憩です。近くにムカデランの群落とかあります。

本櫛田川 本白猪山 本大石灯籠
櫛田川は豊富な岩でなかなかです お茶と柿と白猪山 大石不動院に奇妙な灯籠が

9時10分に不動院を出て少し歩くと街道は右に分かれます。再度166号線に出会って横断し、もう一度出会うところが和歌山街道との分岐点です。道標があります。和歌山街道はここから松阪へ向かいます。伊勢本街道も166号線と分かれて県道沿いに津留(つる)の渡しへ向かいます。
しばらく県道を歩きますが、玉泉あたりでは左に別れます。また県道に入ったりしながら10時20分には都留に着きました。今では赤い橋がかかっています。休む場所を探しながら結局伊勢自動車道の手前まで歩き、一休みしました。途中、お地蔵さんや道標がいくつかありました。
本都留渡し 本仏足石 本伊勢三郎
都留の渡しで櫛田川を渡る 仏足石の碑には草鞋がかけてあった 伊勢三郎物見松といぼ地蔵さん

この辺りは県道といっても車も少なく、出入りしながらのんびり歩けます。10時50分、伊勢自動車をくぐり昼食予定地の相可(おうか)に向かいます。今日は峠道も無く里歩きばかりなので弁当は用意せず食堂を探して入る予定です。
県道沿いに再び櫛田川に当り川沿いに歩くと不動院があり仏足石があります。さらに県道を歩いて井内林のあたりで右に分かれます。「伊勢三郎物見の松」と「いぼ地蔵」がありました。

道は少し判り難いのですが再び県道にでます。三匹田、四匹田など変な名前の集落を過ぎると道端に椋の大木があり灯篭があります。このあたりから相可です。街道沿いに道標が2本あり広場になっています。12時を過ぎ空腹ですが適当な食堂がありません。相可はこのあたりでは最も人口が密集していそうなのですが食堂らしきものがありません。そのうち集落を通りこしてしまいました。
本相可椋 本相可広場 本水分神社
千鳥瀬付近の椋の大木 くまの道との分岐広場 ショウズンさんという水分神社

空腹を抱えてJR紀勢線の踏切を渡り、水分神社や常夜灯など見ながら小さな集落を通りますが商店もありません。そのうちJR参宮線の踏み切りにでました。左折すれば500mほどで多気駅です。相談の結果、このまま田丸まで歩いてしまおうということになりました。里歩きで油断したため非常食もありません。一寸休憩して13時に出発しました。

田丸では居酒屋を見つけて一杯飲もうと元気を出します。諦めると不思議なもので空腹にもかかわらず元気がでます。ビールがちらつくからでしょうか(笑)。

本街道9

ここから田丸までは、これまでと打って変わって山の中になります。のどかな山道を2キロばかり歩くと山奥の風情がある切り通しの道になります。伏し拝み坂といって、ここで伊勢神宮参拝を諦めて帰った旅人も居たという場所もあります。だけど街道は参宮線とそんなに離れずに平行して歩いて行きます。朝久田の神宮の森を過ぎると街道は直角に左折し、すぐ右折して田丸に向かいます。まっすぐ参宮線を右にみながら歩いて行きます。供養地蔵を過ぎると田丸の町並みはもうすぐです。

本西池上 本伏し拝み坂 田丸追分
西池上にあった石仏群 伏し拝み坂は切り通しです 熊野街道との分岐

田丸城は北畠親房親子が後醍醐天皇を迎えようと作ったのが最初とされている。明治20年には廃城となったが、今でも石垣はみごとです。熊野街道との分岐点を見て商店街を田丸駅まで歩きましたが居酒屋どころか食堂もありません。松阪まで行くかと覚悟しましたが、近くに「かあちゃんの店」という「たこやき」と「焼きそば」の店が開いていました。ビールは一寸離れたAコープまで買いに行ってようやくありつけました。でも旨い。
次回は年末に伊勢神宮の参拝をして、おかげ横丁かどっかで打ち上げの一杯をやりましょう。

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