和歌山街道(高見峠〜吉野)
3/6−7/04 メンバー単独 天気曇り時々雪
3月6日(飯高町−高見峠−東吉野村)
一寸早起きして乗った松阪発8時40分のバスは10時10分に飯高町の森に着いた。もう少し行って欲しいがここまでしかバスは無い。先日行った乙栗子までは3キロほどある。歩き始めると雪がちらつき、前方の高見山方面は雲に覆われている。天気予報で荒れ気味と聞いていたので防寒装備は充分なので心配はないが、それでもこんな予報は外れて欲しいものです。松阪から歩いてきた和歌山街道も今日明日の2日間で吉野まで歩けば一段落で、次は大峰奥駈を歩けば我が家から熊野本宮までつながります。
![和歌山3](wakayama3s.jpg)
![和歌高見遠望](P3060005.JPG) |
![和歌道標1](P3060009.JPG) |
![和歌不動明王](P3060014.JPG) |
高見山方面は雪らしい |
桑原の石標 |
国道沿いに不動明王 |
さて10時50分頃乙栗子につきました。166号線はバイパスで集落は静かな寒村です。集落を抜けると国道に合流し、しばらくは国道歩きです。加波のあたりでは右上に街道があるらしいのですが道が国道工事で削られて消えているため国道を歩きます。この辺りで12時になったので風当たりの無い河原で20分ほど昼食休憩しました。
桑原で国道はトンネルをくぐりますが、これは右折して旧道で迂回します。赤い橋を渡った辺り右手に道標がありました。この辺り街道の風情があります。また国道に出て波瀬に向かいます。波瀬の入り口で街道は集落に入って行きます。
![和歌波瀬神社](P3060020.JPG) |
![和歌波瀬町並み](P3060022.JPG) |
![和歌船戸石仏](P3060028.JPG) |
波瀬神社から櫛田川を眺める |
波瀬の立派な民家 |
船戸橋袂の石仏 |
右側に由緒ありそうな波瀬神社がありお参りしました。一寸高台で左下に国道や公共施設の山林舎なんかを見ながら歩きます。再度国道に出て、すぐ左に分かれ又国道に出たところに近畿自然歩道の「高見山を越える道」の案内があり左に分かれます。1時頃です。街道はぐるっと廻って国道の下をくぐり、船戸川に沿って高見峠に向かって行きます。途中、船戸橋を渡りますが、橋の袂に石仏があります。寂しい船戸の集落を抜けて1時間ほどで高見峠への登り口に着きますが、ここまでは狭いながら自動車道です。
集落の中には道標もありました。登り口の橋を渡ると、すぐ蘇我入鹿の首塚と言われる石の塔があります。ここで5分ほど休憩しました。近くにはお寺の跡や曼荼羅岩などがあります。歩き始めて4時間弱で標高は300m上がって500mほどです。これから高見峠までは1時間の行程ですが、標高差は400mほどあります。登山道としては何でもない道ですが、旅人や物資の輸送、また但馬からの牛がここを越えて松坂へ歩いたかと思うと、やはり難所だったろうなと思います。
![和歌船戸道標](P3060038.JPG) |
![和歌蘇我入鹿](P3060044.JPG) |
![和歌高見雪道](P3060054.JPG) |
船戸集落にある石標 |
高見峠登り口の蘇我入鹿首塚 |
高見峠への登り |
ここまでの道中の天気は変わりやすく、日が照ったと思うと雪が舞ったりで定まりません。2時10分頃登りはじめました。昨日降った雪だと思いますが森林の切れ目は雪で道が真っ白です。踏み跡は無く誰も通っていないようです。途中特に迷うところも無く50分程で車道に出ます。右へ少し行けば高見峠てす。通称大峠と呼ぶようです。ここから高見山の山頂までは1時間ぐらいです。冬は樹氷が有名で、観光バスで登山者が来るぐらいだそうです。展望台もあり吉野方面のながめが良いところだそうです。
![和歌高見峠](P3060061.JPG) |
![和歌小峠](P3060067.JPG) |
![和歌高見石畳](P3060074.JPG) |
吹雪の高見峠(大峠) |
小峠は左折する |
吉野側の降り道 |
ところがこの日は吹雪になってしまいました。顔も上げられないほどで、証拠写真を2〜3枚撮っただけで退散することにしました。街道としては車道の一寸上を平行して小峠に向かうのですが、ひどい吹雪なので足場の良い車道で1キロほど先の小峠に向かうことにしました。それでも道は凍っていて、こわごわ歩く始末でした。小峠の付近へ来ると雲の下へ出たので吹雪はやみました。車道から少し入ったところに道標があり、そこからすぐに小峠です。街道はここで左折です。うっかりまっすぐ歩くと道は途切れるようです。小峠からの降りも結構あります。3時20分頃から国道沿いの高見山登山口まで50分ぐらい掛かりました。
![和歌高見石仏群](P3060078.JPG) |
![和歌神社](P3060087.JPG) |
![和歌伊豆尾](P3060109.JPG) |
高見山登山口付近の石仏 |
八坂神社だったかな |
伊豆尾であまご密漁の見張り? |
国道に平行する旧道を歩いて行くと高見山荘があり、もう少し行くと国道沿いに民宿があります。この辺で宿をとろうと思ったのですが、多分4時半ごろで、もう少し歩いて明日の行程を楽にしようと、今夜の宿は木津(こつ)峠に近い伊豆尾の「いどや」さんを予約していました。2時に少し休んでから歩き続けたので足が痛くなってきました。「いどや」さんは街道から1キロほど南に下った川のほとりにありました。5時20分の到着で、ようやく山間の谷間は薄暗くなっていました。あまごが解禁され、道中には釣り人が結構居ましたが、お客は私一人のようでした。ゆっくりお風呂にはいり、後は熱燗をたらふく飲んで気持ちよく寝てしまいました。
![和歌伊豆尾2](P3070117.JPG) |
![和歌木津峠](P3070118.JPG) |
夜中に雪が降ったらしい |
木津峠 |
翌日目が覚めると昨夜のうちに雪が積もっていた。
7時40分に宿を出て木津峠まで登っていく。8時に峠につきトンネルをくぐる。雪がけっこう降っているので再度身支度を整える。国道に出て少し歩いて右に旧道へ入り、また国道を渡って鷲家(わしか)の集落に入る。8時40分頃です。当時は交通の要衝だったと思われる雰囲気のある町並みです。伊勢街道の道標を見て神社にお参りする。朱塗りの神殿がきれいです。この辺りは昔天誅組が通った場所で、数多くの遺跡やお墓があります。
![和歌鷲家道標](P3070122.JPG) |
![和歌鷲家神社](P3070124.JPG) |
![和歌鷲家雪景色](P3070127.JPG) |
鷲家の道標 |
三社神社だったかな? |
小名峠登り口から鷲家の集落 |
![和歌山4](wakayama4s.jpg)
さて、街道はここから小名峠を越えて小名に入り、三茶屋(みつちゃや)へと続くのですが、資料も無かったので吉野の歴史資料館の方にルートを教えてもらいました。
その時この小名峠は現在通れないのではないかとのことでした。別のルートを考えたのですが残念なので先日調査にきました。
小名の集落と鷲家の両方で入り口を確認し、近所の方に通れるか否か尋ねました。自分は通ったことは無いが通れるはずだというのが大方の意見でしたが、鷲家の「きのこ館」のご主人が通れると言って頂いたので安心して来たわけです。
![和歌三叉路](P3070134.JPG) |
![和歌小川](P3070131.JPG) |
![和歌倒木](P3070132.JPG) |
この三叉路は右折が正解でした |
小川へ降りてしまった |
伐採倒木はなんとかしてほしい |
8時45分、診療所の前を通って峠道にはいります。地形図では西へ道が描かれていますが、道はどんどん北に進んでいきます。これは違うなと西へ進む道を探しますがありません。仕方なく街道とは違うかもしれないが小名へは行ける道かもしれないと雪のなかを登って行きました。あまり踏まれてはいないものの、森林作業の良い道です。20分ほどで平坦になり更に歩くと三叉路になり、北へ来過ぎていると思っていたので南へ左の道をとりました。結果的にこれが間違いで、そこは地形図にある小川への分岐点でした。
地形図の道とは全く違った道を歩いていると思い込んでいたため、疑いもせず南へ降っていったのです。伐採された木が道を塞ぐなか、雪で滑りやすい急坂を15分ほど下ると自動車道に出ました。着いた場所は先日確認した小名の入り口とは違っていて現在地の確認ができません。近くの民家で訪ねると、明確に教えられました。前述の三叉路を右に行けば小名で、それが昔の街道ですよと。がっかりするやら、うれしいやら、複雑な気持ちでしたが、気を取り直して先の急坂を登り始めました。40分ぐらいロスしましたが10時過ぎに分岐点に戻り、今度は鼻歌まじりに小名に向かいました。
![和歌小名峠](P3070136.JPG) |
![和歌小名](P3070140.JPG) |
![和歌小名口](P3070142.JPG) |
小名峠らしき所 |
日差しも出てきた小名付近 |
小名側登り口 |
何も標識は無いものの、小名峠らしき所を通り、小名の集落に10時半ごろ到着しました。雪もようやくあがって日もさし始め、いい森林浴の道です。途中、絞り丸太なんか作っていたり、磨き丸太をやっている農家もあり、吉野の林業は健在なんだなと思いました。折角の小名峠なので入り口と峠に案内でもつけてくれるといいんですが。
![和歌絞り丸太](P3070141.JPG) |
![和歌小名隧道](P3070146.JPG) |
![和歌三茶屋神社](P3070147.JPG) |
変な形の絞り丸太 |
小名トンネル出口の谷道 |
三茶屋の神社 |
さて、次は三茶屋へのルートですがトンネルです。小名の人々は小名峠というと、この三茶屋への峠を指すらしく先日話がこんがらがりました。現在はトンネルになり通れないとのことですが、どこかにルートはあるはずと思いますが、今日は先ほど時間をロスしているので短いトンネルをくぐりました。出口すぐ左に谷道があり、それを下ると神社にでました。お参りして神社の前の街道を歩き、国道370号線を渡ると街道の石標があり、左いせ道とか刻まれていました。三茶屋で11時過ぎです。
短い旧道はすぐ県道28号線に合流します。しばらく県道歩きです。柳、香束と単調な道です。時刻も12時を過ぎ空腹ですが適当な食堂もありません。運動公園の入り口付近小島峠で街道らしい道が右に分かれました。龍門という地域にはいりました。龍門岳は知っていますが龍門滝もあるらしい、神社の門前に石の道標がありました。雰囲気のある町並みなので、お婆さんにここは伊勢街道ですかと尋ねると「私のお婆ちゃんがそう言っていた」と言って笑いました。
![和歌竜門](P3070163.JPG) |
![和歌竜門街道](P3070165.JPG) |
![和歌竜門道標](P3070169.JPG) |
竜門にある神社とお寺 |
伊勢街道の面影残る |
平尾の道標 |
途中左折して龍門文庫の前を通り、また県道にでましたが間違いだったか。県道で河原屋へ向かいながら右の川向こうを見ると良さそうな道があり、適当に川を渡ってそちらに移りました。ここまで来ると上市はもうすぐです。1時15分河原屋で国道169号線にでました。国道には出ず、平行してはしる狭い旧道を上市に向かいます。なかなか風情のある町並みです。目的の吉野神宮駅へは桜の渡しの代わりに桜橋を渡っていこうかと思いましたが、上市の町並みをもう少し見たかったので上市橋に向かいました。
![和歌竜門文庫](P3070173.JPG) |
![和歌上市庚申堂](P3070180.JPG) |
![和歌上市雪](P3070187.JPG) |
竜門文庫の古い建物 |
上市の庚申堂 |
上市橋付近では吹雪でした |
猩々という蔵元があり酒の粕と書いてあったので土産に買いました。伊勢街道は一寸上の狭い道だと教えられましたが、町に入ればどこの筋も街道でしょう。お酒も買って店を出るとなんと吹雪になっていました。上市橋では対岸も見えないほどです。ほうほうの体で吉野神宮駅についたのは2時5分です。期待の食堂が閉まっていたのでがっかりです。下市口まで歩こうと思っていましたが、この雪では諦めました。電車で橿原神宮駅に向かい構内の食堂で旅の疲れを癒すことにしました。
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