万歳峠越え
2006年11月18日 天気 曇り  メンバー単独

万歳峠地図
万歳伊勢路
南紀1号は11時20分に新宮駅に到着。事前の調査では熊野交通のバスは12時10分まで無く、その間に昼食の予定でした。ところが着いてみると瀞峡連絡バスが11時37分に有るという。弁当を買って乗り込みました。30分得しました。

さて万歳峠越えは以前本宮道を歩いたとき、志古まで歩いて止まっていました。伊勢路を完成させるためには、志古から万歳峠を越えて小雲取越えのルートに合流しなければなりません。そこで今回の計画となりました。

計画にあたってネットでいろいろ調べたのですが歩いたレポートは見つかりませんでした。一寸不安でしたが一本道で迷うところも無さそうだし、距離も高低差もたいした事ないので出かけてきました。

小雲取越えに合流すれば、そこから請川までは前回歩いています。請川からは国道を本宮神社まで歩いて、今日は熊野萩のまつみやさんに泊まる予定です。

志古には12時20分に到着、早速目の前の街道に入っていきます。写真上は街道を示す志古の看板。

国道沿いに説明看板があり、一遍上人と熊野信仰についての説明がありました。私もよく知らなかったのですが、一遍上人は熊野権現のお告げにより悟りを開き、全国に時宗を布教する際、それまで上流階級の信仰だった熊野信仰を庶民の信仰に広げていったらしい。

その一遍上人の名合碑なるものが、この万歳峠越えの街道にあるらしい。

万歳乳仏 万歳里道 万歳地蔵1
街道入口直後に乳大師の案内 街道と案内看板 道端の地蔵さん

歩き始めるとすぐ野猿の群れが道路や畑に目に付いた。森の中では喧嘩しているような唸り声も聞こえる。一人旅には気持ちの良いものでは無い。

万歳案内1 万歳写し 万歳山
歩いて10分の案内 一遍上人名号碑写し 山は少し紅葉

舗装された道路を30分程歩くと一遍上人の碑の写しなる看板があった。更に牧場のそばを通り、高度を上げながら25分ほど歩くと、こんどは林を少し入ったところに名号碑が有った。標高は既に300m近くになっている。

万歳紅葉 万歳名号碑 万歳登り2
道端の木も少し紅葉 一遍上人の名号碑 万歳峠登り口

更に15分で万歳峠への登り口があり、そこで林道と分かれて山道となる。林道をもう200m歩くと一遍上人ゆかりの桜地蔵と書いてあったが省略した。

10分程休憩した後登り始めると、あっけなく10分で峠に着いてしまった。標高415mの万歳峠で、このコース初めて道標が出てきた。余り踏まれていない荒れた感じの切通しの峠です。

万歳登り1 万歳峠道1 万歳峠1
登り口の案内 峠道は杉林の中 万歳峠

写真を撮ってのんびりしていると若い男女のカップルが登ってきた。聞けば登り口に気がつかず通り過ぎて引き返してきたとか。これから本宮まで行きたいと言うが、よくこんなマイナーな道を知っていたものだと思う。

万歳峠2 万歳降り1 万歳降り2
峠の道標 峠からの降り 小雲取出会いへ

峠からは思ったより降る。標高300m付近まで降って一寸心配になる頃、やっと次の尾根に取り付く。登り始めると10分もしないうちに見覚えのある小雲取越えの分岐だった。14時20分、歩き始めて丁度2時間でした。予想通りでした。

万歳出会い2 万歳出会い1 万歳出会い3
小雲取出会い 出会い付近の眺望 左志古、右小雲取で小口へ

左折して30分余り歩けば熊野の山々が見渡せる絶景の百間ぐらが有るので心は動いたがビールにつられて止めにする(笑)。分岐の付近からも山々の景色はなかなかです。

右折して請川に向かうと小雲取の道は舗装道路のように立派だった。5分で松畑茶屋跡です。前回はここで昼食休憩したのを思い出して、ベンチに座って5分ほど思い出に浸りました。

万歳小雲1 万歳松畑1 万歳松畑2
志古への小雲取の道 松畑茶屋跡 松畑茶屋跡

ここから請川までの道も良い道です。二人がゆっくり肩を並べて歩いても充分な道幅で、しかもほぼ水平に少しずつ降っていきます。45分位歩くと眼下に熊野川が見えたりします。請川が見えてくるとゴールはもうすぐです。15時30分、茶屋跡から丁度1時間でした。

万歳松畑2 万歳? 万歳請川1
ほんとに良い道 これは何?  風水みたい 請川が見えてくる

民家の横を通り熊野古道の案内にしたがって歩いていると自然に国道に出てしまいますが、直前に古道から外れるようです。古道の登り口の30mほど南に降りてしまうのです。

万歳請川3 万歳請川4 万歳請川5
民家の傍を通って国道へ 請川から新宮方面を見る 今通ってきた小雲取方面を見る

バス停としては下○○とか言う停留所なのですが請川のバス停まで200mも無いでしょうか。酒屋さんで今夜の寝酒と明日の車中のために熊野水軍という焼酎を買いました。3時40分に出発です。

請川から本宮へは国道を歩いて3キロです。熊野川沿いの国道の道は古代から有ったのか無かったのか解りません。大方の旅人は湯之峰温泉に向かい、旅の疲れと汚れを落とした後大日越えで本宮に参詣したのでしょう。でも地元の人が本宮に行くには、そんな遠回りはしないで直接本宮に行く道もあっただろうな。

万歳石標 万歳備崎 万歳大日
歴史ありそうな石の道標 備崎橋には大峰奥駈道の案内 大日越え登り口

そんなことを思いながら歩いていると道端に古そうな石の道標がありました。薄暗くて文字の確認はできませんでしたが、荒れた細い道が山に登っているようでした。

大日トンネルが4時、さらに10分で備崎橋です。この橋は奥駈道を歩いて来ると最終的にこの対岸に出て、昔の人は渡渉、私たちはこの橋を渡ってきます。思い出の橋です。

更に10分歩くと本宮大社の旧社殿があった大斎原(おおゆのはら)です。その前の旧道に熊野本宮というバス停があります。近くには大日越えの登り口もあります。現在の本宮大社 の前のバス停は社内表示では熊野本宮行政局前とかなっていたような。

万歳大斎原1 万歳大斎原2 万歳大斎原3
大斎原入口、後方は奥駈の山並み 旧社殿跡地 一遍上人の名号碑

大斎原へ入っていくと、ここにも一遍上人の名号碑があり由来の説明もあります。今回始めてじっくりその説明を読みました。

大鳥居をくぐって本宮大社に向かう頃には夕闇が迫りつつありました。16時35分到着です。4つの拝殿に丁寧にお参りして今日の行程は終了です。民宿まつみやさんまでは歩けば1時間ぐらいで、バスも1時間待てばありますが、電話して迎えに来てもらいました。

万歳大斎原4 万歳本宮 万歳夕食1
大斎原の大鳥居 本宮大社 まつみやさんの夕食、飲みすぎたか

まつみやさんは熊野街道を歩き始めて今日が4回目の宿泊です。他には湯峰温泉が2回川湯温泉が1回あります。一番安くて気楽な宿で私のお気に入りです。普段は長期滞在の工事関係の人なんかで賑わっているみたいです。勿論熊野古道歩きの人を歓迎しています。

万歳萩
歴史は古く、創業百数十年と言います。今回行くと食堂に明治45年に撮影されたという萩止場の写真が貼ってあり、まつみやさんも写っていました。写真左。

上流で伐採された木材が萩に集められ、ここで筏に組んで新宮まで運ばれたそうで、当時は非常に賑わったようです。

「新宮の奥に都あり」とか「萩の剥ぎ取り」とか言う言葉が当時の繁栄や貰った賃金を使い果たす様子が偲ばれます。

そんなこんなでこの日は大徳利を4本も飲んで、すっかりいい気持ちですぐ寝てしまいました。

川端街道に続く