熊野街道 紀伊路
紀伊宮原駅〜道成寺駅


湯浅地図2007年1月14日(日)天気晴れ

今日の行程は距離は29キロ、歩行時間7時間で休憩や見学時間を考えると8時間〜9時間が予想される長丁場です。

朝食は7時、例によって飲み込めるものです。味噌汁のぶっかけご飯が美味しい。しらすと大根おろしもなかなかの美味しさでした。となりの売店でカップうどんとチョコレートを買い、ヨーグルトも有るので昼食は万全でしょう。

湯浅駅 湯浅宮原渡し
湯浅駅は思ったより小さかった。 宮原の渡し場跡

7時46分の電車で宮原は52分到着、昨日の分岐には8時到着です。そこから5分で有田川に掛かる宮原橋に出ます。その橋の袂が宮原の渡し場跡です。

長い橋を渡って堤防を左折糸我王子を目指します。
10分ほど歩いて右に堤防を下り国道42号線を横断して少し歩くと中将姫ゆかりの得生寺です。糸我の一里塚跡もあります。

湯浅宮原橋 湯浅得生寺 湯浅道標1
宮原橋が朝日に染まって。 中将姫ゆかりの得生寺 8時20分 糸我神社前の道標

また5分で糸我稲荷神社でその前に「すく熊野道」の大きな石の道標があります。すこし登りながらあるくと左手に雲雀山への道標がありました。それを熊野古道の道標と間違えて登ってしまいました。10分一寸急登して、小さな役の行者がある鳥居に出ました。その辺で地図を見直し間違いに気付きました。慌てて急坂を下って脚でもくじくとまずいので、ゆっくり街道に引き返しました。

湯浅雲雀山 湯浅モノレール 湯浅役行者
間違えた雲雀山への道標 みかん畑の道を登った。 この辺で間違いに気づいた。

25分のロスで、今日の長丁場の行程では痛いなと内心では思っていますが、取り返しのつかないほどのロスでもありません。

湯浅糸我王子 湯浅道標2 湯浅宮原の街
糸我王子跡 8時55分〜9時5分 糸我の道標 振り返ると宮原の街が

糸我王子跡に着いたのは8時55分、ここで10分休憩しました。出発して糸我の道標を過ぎると急坂になります。みかん畑が無くなり山道になった頃東屋があり後方の展望を楽しみながら休憩できます。

湯浅休憩所 湯浅糸我峠 湯浅行者石
東屋の休憩所 糸我峠 9時25分 行者石

糸我王子から20分で糸我峠です。湯浅側の展望が開けてきます。昔は峠の茶屋があったらしい。
峠から急な下りを夜泣き松、行者石と20分降ると吉川の集落に入り逆川王子社です。他の川とは逆方向に流れるので逆川だとか。

湯浅逆川王子 湯浅方津戸峠 湯浅税務署
逆川王子跡 9時45分 方津戸峠9時55分 税務署の前の案内板

広い車道を弘法井戸など見ながら10分ほど登ると方津戸峠です。湯浅の町並みが眼下に見えます。ここは解りにくいですが石仏の前を通り10m先を右に古道に入ります。間違っても100mほどの短い古道です。山田川に出ると税務署の前で右折、北栄橋に向かいます。

湯浅町並み 湯浅道標3 湯浅広川橋
湯浅の雰囲気ある町並み 街路灯も 立石の道町道標 10時20分 近世の街道、広川橋 案内板もある。

北栄橋を渡るといよいよ湯浅の旧市街に入ってきます。「すく熊野道」の立派な石標を見ながら10時20分頃湯浅駅の近くを通過しました。街中の熊野古道の案内は近世の熊野街道を指しているらしく、その道を辿ると久米崎王子を通らないことに気が着いたのは広川の橋を渡ってからでした。

湯浅町並み2 湯浅勝楽寺 湯浅紀伊国屋
湯浅駅から勝楽寺へ向かう道 勝楽寺付近 右は料亭 10時45分 紀伊国屋文左衛門の碑

それでは拙かろうと、適当に古道に戻りました。円満寺・勝楽寺と歩く道は古道の風情がありますが、ここでも少し時間をロスしました。
勝楽寺を過ぎると紀伊国屋文左衛門の立派な石碑がありました。みかんで大儲けした江戸時代の商人ですね。そう言えば今回の旅はみかん畑と竹やぶの中を歩いているような旅でした。

街道は国道42号線にぶつかりますが、久米崎王子跡は国道を渡った所にあります。久米崎王子跡到着は10時50分、11時まで休憩しました。8時に歩き始めて2時間です。このままだと道成寺到着は暗闇になってしまう。一寸焦っています。

湯浅久米崎王子 湯浅石仏群 湯浅津兼王子
久米崎王子跡 10時50分〜11時 新広橋の手前の石仏群 津兼王子跡 11時35分

切目地図
ともかく津兼王子に向けて出発しました。国道を少し歩いて、新広橋の手前を左折して石仏群の前を行きます。20分ほど広川沿いに歩いた後新梁瀬橋で広川を渡り、すぐ国道42号線を渡ります。ここで無人売店でみかんを買いました。100円でたくさん入っています。又国道に出会うとそこは阪和道路広川ICです。王子跡はICの中に有りました。11時35分です。

また42号線に出て、しばらく国道を歩きます。

県道21号に入り井関の集落を歩きます。ここは以前宿場町として栄えたらしく、民家の壁に当時の屋号が掲げられています。道路の壁には慶応時代の井関村の地図が描かれていました。

湯浅壁画 湯浅稲荷大社
慶応時代の井関村街道地図 伏見稲荷大社

伏見稲荷大社の看板を掲げた神社の前を通り、橋を渡ると河瀬(ごのせ)王子跡です。11時57分到着。

そのまま川沿いの道を東の馬留王子に向かいます。ここにも屋号の案内があります。どこかで弁当をと思いながら歩くうちに王子跡に着きました。12時10分です。5分休憩。

結局、昼食後すぐに坂道を登るのはつらいので、ここは大峠まで登ってから昼食にすることで意見が一致しました。

この当たり、長年の経験を共にしているので価値観が近いのはお互いに大助かりでしょう(笑)。

ここから大峠(鹿ヶ瀬峠)まで2キロ強の登りになります。所々に木の道標があり峠までの距離が書かれています。それを励みに空腹と戦いながら登って行きます。途中、古道が危険ということで安全な舗装道路を歩きました。

湯浅河瀬王子 湯浅旅籠跡 湯浅東馬留王子
河瀬(ごのせ)王子跡 11時57分 旅籠跡の案内と峠方向 ここに馬留王子跡 右へ 12時10〜15分
湯浅道標4 湯浅道標5 湯浅大峠1
東の馬留王子跡 峠までの距離を示す道標 鉄平石の舗装かな

峠まで710mの道標を過ぎると、傾斜もゆるくなり石畳を模した舗装に変わります。贅沢なものです。1時ジャスト、馬留王子から45分で大峠に着きました。やれやれです。峠は日当たりの良い風も当らない広場になっていました。大喜びで昼食にしました。峠で昼食は大正解でした。昼食はカップうどんとヨーグルトです(笑)。

ここから道成寺駅までは標準歩行時間で3時間20分程度。休憩を考えても1時半に出れば5時には着けそうです。余裕が出てきました。
1時25分に出発、小峠に33分。ここから熊野古道最長と言われる石畳の道を降って行きます。

湯浅大峠 湯浅大峠降り 湯浅小峠
大峠(鹿ヶ瀬峠)は気持ちの良い広場 大峠からの降り 小峠

実は石畳の道はあまり好きではありません。今日は良いのですが、雨の日の石畳は滑って怖いのです。大門坂しかり馬越峠しかり横垣峠しかりです。いつも石畳の横の地肌の部分を歩いています。

1時45分、石畳の登り口に着きました。ここは公園になっています。ここからはのんびりした田舎道で、一組の家族が公園に向けて歩いて来ました。本日はじめてのすれ違いです。

湯浅石畳 湯浅ヤッホー 湯浅石畳2
街道最長の石畳の道 ヤッホーポイントとか拍手ポイントとか これは最近作られた石畳 1時45分

道端の石仏群など見ながら12,3分で金魚茶屋跡の駐車場です。きれいなトイレもありました。川を渡り車道の壁に書かれたレリーフを見ながら歩きます。道端に生えている竹の色が黒いので珍しいなと思っているうち、2時10分に沓掛王子跡に着きました。傍に「日本一の黒竹林を見学しよう」とか書いてあったので、あっそうだったのかと思いました。

湯浅公園 湯浅金魚茶屋 湯浅黒竹
公園になっている。 駐車場の道標 黒竹

沓掛王子跡から10分で爪描き地蔵です。弘法太子はあちこちで爪描き地蔵を残していますね。うららかな日光の元、原谷の車道を20分歩くと「西の馬留王子跡」でした。2時40分です。その左上に光明寺というお寺があり参道に腰掛けて10分休憩しました。

湯浅沓掛王子 湯浅爪地蔵 湯浅日高マップ
沓掛王子跡 2時10分 爪書き地蔵 マップ

光明寺で県道から分かれた古道はすぐ又県道に合流しますが再度すぐに分かれます。弘法井戸、また爪描き地蔵など有って再度県道と合流します。
合流するとすぐなめら橋を渡り右岸を内の畑王子に向かう。途中、今熊野神社を右手に見ながら3時5分に内の畑王子跡に着いた。

湯浅西馬留王子 湯浅光明寺 湯浅内の畑王子
西の馬留王子跡 2時40〜50分 光明寺 内の畑王子跡 3時05分

更に20分ほど歩くと右手に高家(たいえ)王子跡の説明板が見えてくる。すぐ傍の内畑神社に王子跡があるので見に行く。神社の前に愛子の渕と言うのがあり謂れの説明板があった。3時30分です。

湯浅高家王子1 湯浅高家王子 湯浅大池
高家(たいえ)王子へ 内原神社と高家王子跡 3時30分 大池

神社を出て王子橋を渡り道成寺に向かう。時間が無ければ近くの紀伊内原駅で終わるつもりでしたが、この時間なら充分道成寺まで行けそうです。Oさんは道成寺の参詣は止めて御坊まで歩いたらどうかと言いますが、ここは歌舞伎の娘道成寺で有名な道成寺を見ておきたいので道成寺駅で我慢してもらう。

街道はJRの軌道から離れて山側を行きます。その山も離れて一里塚も過ぎ30分近く歩くと右手の住宅の合間に大池が見えます。大池から10分位の三叉路に地蔵さんの道標がありました。4時5分です。

湯浅道標地蔵 湯浅善童子王子 湯浅愛徳山1
三叉路の地蔵道標 善童子王子跡 4時10〜15分 愛徳山王子への道

道標から5分で善童子王子跡です。更に10分強歩くと愛徳山王子の道標があります。それにしてもこの辺り、王子と王子の間隔が短いですね。愛徳山王子跡は街道から細いあぜ道や竹やぶの中を200m位入った所に有りました。日が暮れてからでは怖くて辿りつけないでしょう。
4時30分です。5,6分歩くと左手高台に朱色の大きな建物が見えてきます。道成寺だろうなと思いますが、お寺にしては一寸派手だなと思います。右手上にも神社があるなと思いながら八幡橋に着きます。手前を右折していくと御坊方面への街道です。

湯浅愛徳山王子 湯浅道成寺1 湯浅道成寺2
愛徳山王子跡 4時30分 道成寺山門への階段 道成寺境内

我々は橋を渡り道成寺へ向かいました。石段を登り仁王門をくぐって境内に入ります。さすがに立派な建物です。三重塔も立派です。4時50分頃です。参詣して道成寺駅へ向かう参道はみやげ物店が少し並ぶのですが、今日は時季外れなのか時間が遅いのか、閉まっている店が多く一寸寂しい感じです。

湯浅道成寺駅歩きながら、ふと気が着きました。釣鐘の写真を写さなかったなと。龍に変身した清姫が安珍の隠れた釣鐘に巻きつく歌舞伎の場面が頭にあるので釣鐘があるものと思っていたからです。Oさんも鐘楼は見ていないという。明日もう一度確かめようと思う。

駅までは5分です。5時14分の列車で御坊に向かい乗り換えて湯浅に着いたのは5時46分、日はとっぷり暮れて辺りは暗闇に覆われていました。
左の写真は夕陽に照らされた道成寺駅です。

そこで思いついて湯浅の商店街に入り、閉まりかかった魚屋さんを見つけて「しらす」を買いました。明日の帰りの列車でお酒のあてにするつもりです(笑)。なんせ他のおつまみは噛めないのですから。それもありますけど、ほんとうは湯浅のしらすはそれ以上に美味しいからなのです。

すっかり疲れた身体をお風呂で癒して、今日も湯豆腐で一杯やりました。何度食べても美味しいですね。いや、負け惜しみではなく(;゜−゜)

道成寺から切目へ