熊野古道 小辺路
5/3−5/02 メンバー 大阪のOさんと二人。
小辺路は空海が開いた真言宗の金剛峰寺の門前町である高野山から十津川温泉を経て熊野本宮に至る道です。
途中、1344mの伯母子岳を越えるなど3泊か4泊のロングコースですが、今回は高野山から十津川温泉までの2泊3日を歩きました。
1日目 高野山11:00−大滝集落13:20−大股17:00
2日目 大股 7:00−伯母子岳 9:20−三浦口13:30
3日目 三浦口 7:30−三浦峠 9:25−西中大谷橋12:00
1日目 長島を6時過ぎに出て、近鉄・南海と乗り継ぎ、極楽坂からケーブルで高野山へ、更にバスで千住院前(840m)に着いたのは11時です。
空海の開いた真言宗の総本山高野山は、標高800mにある人口4000人、僧侶だけでも1000人という一大宗教都市です。
九度山からの町石道や、高野山を一周する高野七口女人道など歴史街道もあります。
コースは高野山大学の前を金剛三昧院へ向かい手前を右折しますが、金剛三昧院の石楠花がきれいと聞いて見に行きました。今が盛りで素晴らしいものでした。
引き返してコースに入ります。
15分程で大滝口女人堂跡につきます。その上が946mのピークで展望が良いらしいですが、そのまま薄峠に向かいます。
ここからは七口巡りの女人堂と小辺路は重なっています。10分程歩くと女人堂は道標により左に降っていきます。
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ここを右折。奥が三昧院 |
大滝口女人堂跡 |
小辺路と女人堂はしばらく重なります。 |
展望の良い尾根道を30分ほど歩くと薄峠(1040m)です。峠を左に10分程降ったところで視界が開けたので昼食にします。
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尾根筋からの眺め |
薄峠 |
のどかな薄峠からの降りで昼食 |
更に30分ほど降ると橋(640m)があり、渡って15分登ると大滝集落(740m)です。大滝集落は珍しくコウヤマキや石楠花の栽培をしているみたいです。
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石楠花や高野槙を育てている |
大滝集落から薄峠を望む |
スカイライン途中の分かれ道は更に直進 |
集落の入り口近くを左に登り、30分位で尾根(850m)にでます。10分位尾根道を歩くと龍神スカイラインです。
ここから30分1.5キロ程スカイラインを右へ歩きます。ゴールデンウイークで車も多く危険なのですが仕方有りません。途中左に広い道が分かれますが通り越します。左手に熊野古道の地図看板(960m)があり、そこでスカイラインと別れて看板の左側を登ります。
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スカイラインの地図看板 |
水ガ峰集落跡 |
気持ちの良い古道 |
15分程で杉の古木がある水ガ峰集落跡(1040m)にでます。さらに15分程、気持ちの良い古道歩きをとていると、右手からタイノハラ林道が合わさります。
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タイノハラ林道との合流点 |
タイノハラ林道側のブナ巨木 |
展望台もある |
ブナの巨木や展望台などをみながら、明日のコースの伯母子岳なども見え、舗装道路はいやですが気持ちよく歩きます。舗装道路と古道を2−3回繰り返して1時間ほどで平辻(930m)です。お地蔵さんがあります。ここからも古道と林道がありますが、1時間ほどで大股の集落(620m)があります。
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展望台からの眺め、良い天気です |
平辻のお地蔵さん |
明日の伯母子岳 |
今夜の宿津田旅館さんはすぐそばです。
村営の温泉ホテルが3キロほど下流にあり送迎してもらいました。沸かしの循環ですが、大きな浴場は気持ちがいいです。
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大股でしょうか、集落が見えてきます |
大股です。 |
野迫川温泉近くの神社 |
温泉の近くには由緒ありげな神社がありました。
夕食はしし鍋にアマゴや山菜と豪華なものでした。自家栽培のワサビの花芽とかはピリッとして酒の肴になかなかのものです。
津田旅館は70才を越えた老夫婦が経営しておられますが、「もうじき出来なくなるかも」と寂しいことを言われます。
事実、過疎の林業地帯では若者が全て都会へ出ていくため、民宿も経営がなりたたなくなるようでした。民宿だけではとても食べていけないし。厳しいですね。
コースタイム
金剛三昧院11:15−薄峠12:10−大滝集落−13:20−スカイライン14:03−水ガ峰14:45−平辻16:00−大股17:00
2日目
今日は今回のハイライト、伯母子峠越えですが、朝から時雨れています。7時に出発してすぐ急な登りです。
ウオーミングアップなしの急登に息が切れます。
40分程で萱小屋跡(910m)ですが、ここまでがしんどいです。
更に50分ほどで檜峠(1140m)で、ここまで来れば一息つけます。
すでにガスの中に入っているので展望は利きませんが、夏草山の山腹をまきながら40分程で伯母子岳と伯母子峠への分岐(1140m)にでます。護摩壇山から遊歩道(12キロ)もここで合流しています。
付近には石標もあり、古道の面影もあります。
頂上へ登っても展望は期待できないし、古道に忠実にと迷いましたが、せっかくなのでピークを踏むことにしました。
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頂上への分岐 |
分岐付近の道標「左ハくまのみち」とか |
伯母子岳山頂、何も見えない雨の中 |
15分程の登りで山頂です。晴れていれば護摩壇山への縦走路・果無山脈・大峰山系の山々など、一大パノラマのはずなのですが、今日は駄目です。記念写真のみで早々に伯母子峠(1180m)に降ります。
20分程で山小屋のある伯母子峠です。雨に濡れないのでのんびりして、ノートをめくります。昨日は二組ぐらい来ていて、展望を絶賛しています。くやしい。空いている時なら、この小屋に泊まる行程も考えられるようです。でも水は無いようです。
峠を後に45分ほど降ると上西家跡(980m)です。この伯母子峠からの下りは意外に長いです。暗い杉林の中を淡々と降ったり、急傾斜なので崩落が激しく道も途切れがちです。その点、大股側からの登りはいい道です。上西家跡から1時間ほど降ったところに弘法太子の石仏がありました(800m)。更に30分ほど降った杉林の中で12時になり昼食にしました。
この弁当もなかなか美味しく、津田旅館のお婆さんは料理がなかなかです。
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弘法太子像 |
なんの花 |
天気も回復し三田渓橋はもうすぐです |
30分ほど休んで、もう30分降ると三田谷橋(380m)です。橋を渡って五百瀬を抜け三浦口まで20分くらいでしょうか。
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小辺路は石仏が多い |
三田谷橋の藤の花 |
三田谷側登り口です |
途中、平維盛の墓など見ながらのんびり歩いて、三浦口に着いたのは1時半でした。
三浦口の唯一の民宿たまやさんが廃業されてしまったので、宿泊所がなく困りました。
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腰抜田とか(笑) |
平維盛の墓と伝えられる |
旧たまやさん |
168号線の川津には民宿がありますが7〜8キロはありそうで、民宿の送迎も断られたのであきらめて、たまやさんに特別にお願いして素泊まりさせてもらうことができました。
大股の津田旅館のお婆さんも73才とかで「いつまでできるか」と言っておられたし、林業が寂れて民宿だけでは後を継ぐ人が難しく、都会へ出ていく若者が多くなってしまうと小辺路だけでなく、あちこちで難しくなりそうです。この日はゴールデンウイークで、お孫さん連れで息子さん夫婦が帰省されていて賑やかでしたが。
そこで久しぶりの自炊となり、Oさんが苦心のメニューです。豚の角煮・ボルシチ・石狩鍋などなど、レトルト食品ですが7〜8品が並び、持参のお酒・焼酎・ウイスキーにビールも加わって宴会してしまいました。
コースタイム
大股7:00−萱小屋跡7:42−檜峠8:31−分岐8:57−伯母子岳9:21−伯母子峠9:34〜50−上西家跡10:33−弘法太子11:27−昼食30分−三田谷橋13:00−三浦口13:30
3日目
朝食はお粥と昨日の残りの2〜3品で豪華です。宿のご主人(80才とか)にコーヒーをごちそうになり最近の様子などをしばらく話したあと、7時半に出発です。
昨日に比べれば楽なコースだし、村営バスは13時50分までありません。
三浦峠は標高1050m位なので、登りは昨日と同じく700m位です。天候も回復して三浦峠付近まで見えています。
宿の横からグレーチングで作られた船渡橋を渡ります。昔は神納川に渡しがあったらしい。
最初から古道の面影が残る坂道を登ります。
途中の森には奇妙な形に育った杉の古木があります。
登り口から1時間上ると25丁石(750m)です。
そこから7〜8分で30丁水という水場があります。
美味しい水です。
更に40分程で三浦峠に着きます。
峠には立派なトイレがありますが、林道も造られて情緒がないので通り過ぎます。
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面影残る古道 |
杉の古木 |
二十五丁石 |
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三十丁石の近くには水場がある |
峠付近の案内 |
三浦峠 |
植林された杉の新芽を鹿が食べないように道の両側に網がしてあります。
12〜13分降った所に水場があり休憩します。更に10分ほど降ると古矢倉跡があり、西中大谷橋まで1時間30分の案内があります。
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鹿の害を防いでいます |
峠越えあたりの展望、果無山脈かな |
石仏です。 |
ところが、このあと苦戦します。新道と旧道があるのですが、新道は山崩れで通行止めになっています。その性でしょうか、西中大谷橋まで2時間かかりました、余裕のない行程だとバスの時間に間に合わずあせることになります。
古矢倉跡から40分程の尾根筋で今西集落が見える展望地点(720m)があります。そこから50分で観音堂(500m)、更に10分で無人の家屋があり、5分で林道に出ます。ここが西中大谷橋かと思うと間違いで、林道を左にとるとすぐ右に降る道があります。そこから20分ぐらい古道と林道をくり返すとようやく西中大谷橋です。
丁度12時で、バスの時間まで2時間弱あります。河原に降りてラーメンでも作ろうかと思っていると、通りがかりの車が来て、十津川温泉まで乗せてもらいました。
でも五条行きのバスは3時50分まで3時間ありません。陸の孤島ですね。
バスターミナルの近くに公衆浴場があり、汗を流して着替えをし、近くの食堂で2時間近くビールを飲んでいました。十津川温泉の近くに蕨尾口というのがあり、そこから熊野本宮に向けて小辺路は続いていきます。あと1日の行程でしょう。また、来ます。
コースタイム
三浦口7:30−二十五丁石8:30−三浦峠9:25−古矢倉跡9:55−今西集落10:37−観音堂11:23−林道出会11:37−西中大谷橋12:00
小辺路2 果無峠越えへ