熊野街道 中辺路
昨日まで歩いてきた熊野街道紀伊路は今日から中辺路に変わる。8年前に初めて熊野古道なるものを歩いたのは、ここ田辺からバスで滝尻王子に行き、滝尻−近露−熊野本宮と歩いた。その時も今回同行のOさんと二人だった。以来8年間、中辺路、小辺路、大辺路、奥駈道と殆どを二人で歩いてきた。その熊野街道の旅も今日田辺から滝尻まで歩けば一応完了する。いろいろな思い出や出会いを作ってくれた旅だったなと思う。
2007年4月29日
7時朝食、7時半に出発、近くのコンビニで弁当を買う。要らない荷物は全て部屋に残しておけるので連泊は楽だ。駅前のバス乗場で明日の時刻なんか調べて、昨晩の繁華街を通って昨日渡って来た切戸橋に着いたのは8時10分だった。
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高山寺山門 遥拝した |
会津川沿いに街道は行く |
秋津王子への案内 |
JRのガードを潜るとすぐ左手に立派な山門があった。高山寺です。歩きながら遥拝する。気持ちよい朝の空気を吸いながら会津川沿いの街道を歩く。42号線の下を通り、すぐ小さな秋津橋を渡って左折する。
案内に従い右に川から離れるとすぐ右手に秋津王子跡があるが、気をつけないと見落としてしまう。8時35分です。ここからの道も解りにくいがガイド地図があるのでなんとかなる。目座橋でまた会津川を渡り左折する。
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秋津王子跡 8時35分 |
須佐神社 8時50分 |
このネットは梅の収穫に使うのかな? |
今日は時間も充分有るしとのんびり歩いていると、一人歩きの若者が追いついて話し掛けてきた。彼は近露まで行くと言う。滝尻には民宿が無いので近露までの行程を組むのだろうが一寸きつい。9〜10時間ぐらい掛かるだろう。小走りに走って去って行った。道を間違えるなよ(笑)。
8時55分、須佐神社に着いた。石段を登り参拝して休憩する。前の池も以前は境内だったかもしれないなと思う。出発して道を間違えた。すぐ左折だったが直進してしまった。途中で気がつき地図を読むと、このままでも合流するし途中の見所も無いので、そのまま進むことにした。
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万呂王子跡 |
三栖廃寺塔跡 9時30分 |
国の史跡らしい |
熊野橋を渡って街道と合流した所に万呂王子跡がある。ここも単に看板があるだけだ。県道を少し歩くと三栖廃寺塔跡の案内がある。眺めていると通りがかりのバイクのおじさんが「何か解らないことありますか?」と尋ねてきた。親切だ。
県道と分かれ少し歩いて左折、三栖廃寺塔跡に向かう。ここでも小母さんが「もう少し上にありますよ」と親切だ。9時30分に到着した。ここは史跡としても価値あるらしく丁寧に保存されている。
左折した地点に戻り直進すると、すぐ又県道に合流する。この交差点が下三栖バス亭で、明日はここから左折して潮見峠越えルートを歩くつもりだ。コンビニも近くにある。
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下三栖交差点 明日はここから |
三栖王子へ右折 |
対岸を右へ行くと善光寺 |
今日は直進して食品スーパーVショップの先を右折する。
また会津川を渡ると右手に善光寺への参道があるが、街道は左折して登りながら三栖王子跡に向かう。三栖王子跡は山の中腹にあり、立派な石碑が立っていた。
ここから街道は山越えになるが、道が荒れているので県道に降ってトンネルを通るようガイド地図には書かれている。
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明日の潮見峠方面かなあ |
いい感じの近畿自然歩道と思ったのだが |
岩の間を潜ったりして |
我々は「痩せても枯れてもワンゲルOBだ、トンネルなんか潜れるか」と山越えの道を選んだ。結果的に失敗で、何処で間違えたか墓地に出て、着いたところは先ほどの善光寺だった(;゚−゚)。
仕方なく川沿いを県道に出て、とぼとぼとトンネルを潜ったのでした。20分位ロスしたのかなあ、再度の三栖王子跡直下の県道は10時15分の通過でした。
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善光寺に着いてしまった。灯明台 |
八上王子 |
八上神社 |
トンネルを出て左に県道と分かれ、すぐまた合流して少し歩くと右手に八上神社の森が有ります。ここで県道を横断して八上王子跡のある神社に参拝します。10時40分です。休憩しながら昼食を稲葉根王子で食べようかと相談する。
神社を出て県道に出ると右手前方に国道311号線が見えてくる。国道はトンネルで峠を越えるが、他に二つのルートがある。少し遠回りだが山裾を行く旧311号ルート、もう一つは稲葉根トンネルの上を越える王子谷越ルートだ。当然我々は王子谷越ルートをとる。今度は無事に行ければ良いが(笑)。
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シラサギの舞う田圃道 |
王子谷コースは健脚コース |
王子谷は荒れている |
県道から案内に従い、健脚コースと書かれた登りに入る。道なりに登ると民家の庭に入ってしまうが、よく探すと直角に左折する細い道がある。この道に入れば道は険しいものの迷うことは無い。峠を越えると急な降りになり、道の真中に大きな筍の生える竹林を過ぎると民家の庭になり稲葉根王子だ。この道も近々廃道になりそうな道だ。稲葉根王子神社到着は11時30分でした。
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王子谷峠かな |
道の真中に筍が |
稲葉根王子社へ到着 11時30分 |
ここは立派な境内でトイレもある。ここのベンチをお借りして昼食休憩とさせてもらった。ここで帰りのバス時刻を検索。3時50分に1本、それを逃すと5時30分まで1時間40分無い。
田辺からここまで標準歩行時間で3時間10分だが、我々は一寸道に迷ったりして3時間20分掛かっている。ここから滝尻までの標準歩行時間は3時間30分、12時に出発すると3時30分に滝尻に着く。なんとか3時50分のバスに間に合うようだが、そんなに余裕は無い。ということで12時に出発した。
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稲葉根王子 境内 |
川は富田川に代わる |
牛の顔に似てるね |
稲葉根王子を出て富田川沿いに国道へでる。大きな木の切り株が飾ってあったが、牛の顔にそっくりだった。しばらく国道を歩いて市ノ瀬橋で川を渡る。少し上流に歩いて案内に従い田んぼのあぜ道を市ノ瀬王子に向かう。12時30分に市ノ瀬王子跡に到着、まあまあのペースです。市ノ瀬王子跡は大きな木の下にあり雰囲気はまずまずです。
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市ノ瀬王子到着 1時15分 |
市ノ瀬王子跡 |
富田川沿いの街道 |
そのまま民家の裏を抜けて鮎川王子へ向かいます。10分一寸歩くと加茂橋に出る。渡って少し逆戻りして坂を登っていくのが街道です。古い橋の上流に現在の橋が架けられたのでしょう。また国道工事で崖が削られたのでしょう。
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加茂橋を渡り坂を登る |
坂の途中から街道を見る |
鮎川王子の休憩所 |
住宅街の端を通ってまた降って行きます。降ってしばらくは国道に平行した旧道を歩き、鮎川新橋の手前で国道と合流します。そこに休憩所と鮎川王子跡がありました。1時15分の到着です。休憩所で一休みです。
鮎川新橋を渡り左折するのが街道で、直進すると旧大塔村の百間渓谷に行けるようです。なかなか素晴らしい渓谷だと聞いています。住吉神社を過ぎ完璧に舗装された、すごく立派な街道を歩きます。のごし橋の袂に藤原定家の歌碑がありますが、そこからは雰囲気の良い地道になり、やがて川沿いの崖道になります。
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藤原定家の歌碑 |
気持ちの良い芝生の道 |
新旧の道祖神がある |
所々に休憩用のベンチが設置されていますが、対岸の国道から来るには橋が無いので殆ど利用されていないようです。古道歩きの人もここまでは来る人は少ないのでしょう。道祖神と庚申塚があったり、大鰻の生息地の案内があったりして、古道の雰囲気を盛り上げたりします。
古道は国道の下をくぐり、今度は国道のトンネルの上を越えるべく登っていきます。この峠を越えればもう登りは無いはずです。一汗かいて峠到着は2時20分でした。一休みして出発すると国道が見えつり橋が見えてきます。2時40分、北郡橋に到着、自動販売機で冷たい飲み物を買います。ここから滝尻までは清姫の墓を経由して55分です。なんとか3時半に着ける目途が立ってきました。
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北郡への峠 |
2体の庚申塔 |
北郡吊橋 |
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吊橋から清姫茶屋が見える |
清姫への道 |
清姫の墓 |
橋の中ほどからは上流の清姫茶屋の建物が見えています。渡って右折、2時55分に清姫の墓です。ここは国道の近くなので一般の観光客も訪れます。国道に合流してすぐ左上の並行する街道に入るべきですが、うっかり国道を歩いてしまいました。
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風が奏でる楽器らしい |
熊野古道館が見えてくる |
滝尻王子社 |
右手の山の中腹辺りにロープに釣られた赤い平安時代の御簾のような箱が見えます。なんだろうと思っていたのですが、大きな楽器だそうです。風で御簾がゆれて音を出すらしい。10分ほど歩くと街道が合流してきます。右側のペットショップからは国道歩きです。昔入った熊野古道館が見えてくれば滝尻王子はもうすぐです。3時25分に到着しました。
道中の無事を感謝して参拝、熊野街道完全歩行の完成です。8年前に来たときは、これからの道中のことが頭に一杯で滝尻王子は通過点でした。
でも今回は落ち着いて辺りを観察できます。境内の茶店に入り缶ビールで乾杯しました。バス停で時刻表を見ると4時30分に龍神バスがあるではありませんか。私はJRバスしか見ていなかったのです。そんなに焦ることは無かった(;゜−゜)
GWとあってバスは満席です。運良く座れて50分のバス旅行です。今日8時間かけて歩いた街道が50分で走馬灯のように逆回転して、4時半過ぎに紀伊田辺駅前に着きました。
明日は下三栖から潮見峠を越えて覗橋へ歩くつもりでしたが、Oさんとの話し合いで、逆に覗橋から田辺方向に帰ってきたほうが良いということになり、その時刻調べを明光バスの案内所でしました。それがとんだハプニングを生むとは知るよしも有りません。
駅前のみやげ物店で土産物を物色し、浜焼き、ごぼう巻きなどを購入して冷蔵庫に預ってもらいました。明日はゆっくり土産物を買う時間が無さそうだったので。
例のコンビニでまたビールとおでんを買い宿に戻りました。一風呂浴びた後今度はゆっくり乾杯しました。
乾杯の後、また昨晩の店に出かけました。今日は昨日と違ってお客が何組かいて、いっしょにカラオケを歌ったりして遅くまで騒ぎました。
翌日の潮見峠越えへ