鯖街道
鯖街道という言葉があります。特に昔からあった言葉ではなく、ここ数十年の間ぐらいに作られた言葉らしい。
北前船で運ばれた多くの海産物や塩などを日本海側から京都や各地の都市へ運んだ街道は数多くあったことでしょう。
中でも有名なのが若狭の小浜から京都への道です。鯖街道の代表とも言えるでしょう。
でもこの道も1本ではありません。代表的なものだけでも5本、他に枝道もあったはずです。
その中で最も多く使われたと思われるのが比良山脈の西側を走る国道367号線です。
小浜から九里半街道で琵琶湖の今津へ向かい、途中保坂で右折して朽木村に入り、花折峠を越えて大原・八瀬を経て出町柳に達します。現在、若狭街道と呼ばれるようです。
この道は学生時代、京都バスで坊村まで行き、武奈ヶ岳登山や白滝谷から蓬莱山への沢登りによく使ったものです。
しかしながら、この若狭街道は全体が国道歩きで、車も多く、歩くには向かないでしょう。そこで今回選んだのが、九里半街道の途中、遠敷(おにゅう)から上根来(かみねごり)・小入谷(おにゅうだに)を経て久多・花脊峠・鞍馬へ続く道です。
この道はいくつかの峠越えで「京は遠ても十八里」と言われた古い鯖街道で、自然に囲まれたよい道だと思います。
その反面、宿泊施設が少なく、バスも無いため、長時間の歩行を強制されますが仕方ないでしょうね。
小浜駅前の商店街から京都の出町柳までは十八里、72キロと言われますが、ドライブマップ等で測定してみると、1日目、出町柳から民宿のある久多までが36キロ、2日目の久多から小浜が40キロで76キロ、十九里はあるようです。アップダウン等を考慮すると実質20里80キロだそうです。
で、1日40キロずつ2日間で80キロ、これは一寸我々前期高齢者の足では無理だということで、花背峠までバスにして、峠を出発点としました。バス道を歩くのも好きじゃないし、毎年行われている「ユースチャレンジ鯖街道ウオーク」も花背峠から2泊3日だそうです。これで初日は半分の20キロ弱になります(汗)。
2日目はバスが無いので上根来まで27キロは、嫌でも歩く必要があります。そこから後はそのときの調子次第で小浜からタクシーを呼ぶことにしました。その日は小浜に泊まるので、気が向けば翌日歩こうということで。
2009年9月20日
京都出町柳の京都バス乗り場は早朝から坊村や広河原へ行く登山者で一杯です。今日からシルバーウイークです。
我々もバスで花脊峠まで行けばよいのですが、解かりやすく叡山電車で鞍馬に行き、そこからバスにしました。
7時45分の電車に乗ります。バスと違って空いています。これが狙いです。何十年振りかで乗った叡電は30分で鞍馬に着きます。大きな天狗の面が鞍馬を感じさせます。同行はワンゲル同期の大阪のOさんです。
鞍馬寺から貴船へのハイキングコースは子供の頃から何度か歩いた記憶があります。
当初は今回ここから歩く予定でしたが、何方かのレポートに「花脊峠までバスにすれば良かった」と書かれていたので急遽変更しました(笑)。
8時33分のバスは満席で、立っていました。20分一寸で花脊峠です。降りたのは我々2人とボーイスカウトの5人だけでした。彼らは百井のキャンプ場へ行くようでした。バス停からは2本の道が北側にありますが、右の道を行きます。左の道は花脊に行くので間違いです。
9時前に出発、林道を15分ほど登ると金網で囲まれた処分場のような場所にでますが、ここが杉の峠でしょうか。金網に沿って左に林道から離れます。花脊山の家からの道が合流し、琵琶湖展望所がありました。今回、最初で最後の琵琶湖です。
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花背峠 鯖街道入り口 |
杉の峠付近の道標 |
琵琶湖 展望所 |
百井キャンプセンターへの分かれを過ぎ、滝谷山への直登口は9時40分に通過しました。
標高差130mを1時間一寸かけて大見へ降ってきました。大見は小さな集落で、標高は600m程度。交通機関はあるのでしょうか?
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いい感じで大見へ向かいます |
滝谷山登山口 直登口は別にあります |
大見はもう近いか |
10時47分、百井からの道に出会い、さらに奥の尾越集落へ左折します。出会いにはお地蔵さんがあり、尾越へ2.5キロの案内がありました。
尾越への道は舗装された道ですが、一つ小さな峠を越えるため結構登っています。途中、道端の叢に寝ている単独行の旅人を見つけました。昨日は朽木の桑原で野宿、今日はこの先のオグロ坂がきつかったと嘆いていました。
尾越には11時26分到着、公衆電話がありました。携帯は通じません。さらに林道を25分歩いて11時50分にフジタニ峠登り口に着きました。
林道はまだ続いていて、林道伝いの方が峠まで近いと案内されていました。ここで昼食と思いましたが、食後すぐ急な登りは辛いので登り終えてから昼食にすることにしました。
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フジタニ峠への分岐 |
林道でも峠に行ける |
熊避けのテープ |
山仕事の人が居たので何をしているのか訊ねると、「熊に樹の皮を剥がされないよう、ビニールのテープを巻いている」という。よく見かけるテープだが、そんな効果があったのかと驚いた。
20分ほどの登りで水平になり、すぐ林道と合流する当りがフジタニ峠です。その手前で昼食にしました。12時13分〜43分。
峠から20分ほど水平に歩くと八丁平湿原に入ってきます。この辺りでは「ナラ」の樹に全体にビニールシートが巻かれています。なんとかキクイムシが発生してナラの樹が枯れるそうです。
湿原の東側を通ってだらだら登り、13時25分にオグロ坂峠に到着です。後は久多まで降れば良いだけです。鞍馬ー花脊峠をバスにした効果が現れています(笑)。ここでは峰床山登山のグループと出会いました。
オグロ坂峠からの降りは雄大な降りです。870mから370mの久多まで一貫して降ります。途中、栗の実が落ちていたり、栃の実が落ちていたりします。雪の性でしょうかオブジェのように曲がった木もあります。
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雄大な降り |
栗はどの動物が食べるのか |
すごいオブジェ |
50分降った14時15分、林道に出ました。そこには魚の形をした鯖街道の案内がありました。標高では470m辺りでしょうか?途中で休憩も挟みながら、久多の集落に着いたのは丁度15時でした。
街道はここから右折ですが、今日の宿「久乃屋」さんは左折して500mほどです。小さな橋を渡ってすぐです。もう1軒の民宿「だん林」さんも隣です。
久乃屋さんはお風呂とトイレを改装されたばかりで、大きくきれいで気持ちが良かった。料理は山の幸プラス地鶏のすき焼きで9000円です。同行のOさんも非常に満足していました。
若奥さんの話では、小浜から来られた鯖街道歩きの人は、相当山慣れた人でも、長時間アスファルトの道を歩くため、豆を作ったり膝を痛めたりする人が多い。そのため、ここで諦めて、次回ここからスタートする人も多いとか。
そんなとき、ここはバスが無く、7キロ離れた梅ノ木から京都へ出るしか無いそうです。
クーラーも要らない、雪深い山里の生活だそうです。
でも冬は除雪されるし「しし鍋」も美味しいので是非とのことでした(笑)。
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