雲取越え
雲取越えは中辺路の一環として考えられているようです。
紀伊田辺から山越えの中辺路をへて熊野本宮大社にお参りした旅人は、熊野川を下って新宮の熊野速玉大社に参詣し、更に海岸沿いを那智に出て、熊野那智大社にお参りして、その後この雲取越えで本宮に戻り、また中辺路・紀伊路を通って京都へ帰ったようでした。
JR那智駅からは那智川沿いに北上し、大門坂を通って那智大社に至ります。
大門坂は往時の面影残す石の階段があり、両側の杉並木は何百年の歴史を感じさせ、熊野古道のポスターには常に使われる撮影スポットです。
那智の滝を御神体とする那智大社を出ると、熊野川町の小口に着くまで途中人家の無い山中になるため、行き倒れの人も多く熊野街道の中でも難関とされました。
那智大社から小口までを大雲取越え、小口から請川までを小雲取越えと呼びます。
小雲取越えの百間ぐらは熊野街道の中でも絶景の一つと思います。ここから眺める熊野の山並みは、その奥深さをしみじみと感じさせるほか、心の底から洗われる思いがします。
なんとか天気の良い空気の澄んだ日に訪れたいものです。
請川から本宮大社へは直接熊野川沿いに行く道と、湯之峰温泉に浸かって大日越えをするのと両方有るようです。時間が許せば湯ノ峰温泉の壺湯に浸かって一泊し、翌日大日越えをするのが良いのは言うまでもありません。
大日越えの月見ノ宮は幽玄の世界を感じさせてくれます。